菅野智之のメジャー契約は成功か?35歳オールドルーキーの覚悟とMLBの評価

日米のプロ野球が開幕して約1ヶ月が経過していますが、スポーツニュースだけでなくワイドナショーなどの情報番組でもアメリカメジャーリーグの話題が目に飛び込んできます。

その話題の多くはドジャースに在籍する日本人3選手ですが、今シーズンメジャー移籍1年目の選手にも注目が集まっておりその中でも菅野智之選手のメジャー移籍は日本のプロ野球ファンの間でも注目を集めておりました。

日本でジャイアンツのエースとして活躍してきた菅野智之選手の今シーズンのメジャー契約とMLBの評価などを改めて考察したいと思います。

目次

菅野智之のプロフィール

出典:週間ベースボールオンライン

身  長:186cm

体  重:95kg

生年月日:1989年10月11日

血液型:A型

出身地:神奈川県

主な経歴:東海大相模高校ー東海大学ー巨人(2013年~2024年)ーオリオールズ(2025年~)

     2011年ドラフト1位で日本ハムから指名を受けたが大学の卒業延期制度でさらに1年間東海大学

     に残留し翌2012年ドラフト1位で巨人から指名を受け巨人入団。

     新人年から13勝し2017年、2018年と2年連続沢村賞を獲得、さらに2020年は開幕から13連勝を

     達成し最多勝とセントラルリーグMVPを獲得。

引用元:週間ベースボールオンライン

叔父が元巨人監督の原辰徳氏ということもあって巨人入団を熱望していたため、2011年のドラフト会議での日本ハム1位指名後の入団辞退は当時話題になっていました。

2020年までは順調にキャリアを重ねていましたが2021年はケガに苦しみシーズン6勝、2023年はシーズン4勝とスランプに陥り翌年の2024年にシーズン15勝と近年は浮き沈みの激しい成績でした。

そして2024年のシーズンオフに2度目のメジャーリーグ挑戦の末、オリオールズとのメジャー入団契約を結びました。

35歳オールドルーキーとしての覚悟

出典:Full-Count

日本のプロ野球で活躍しメジャーに移籍した選手で投手と野手のどちらが多いかというと、圧倒的に投手の割合が多くルーキーイヤーから活躍している選手も多いです。

菅野選手は日本プロ野球の名門である読売ジャイアンツのエースとして、投手最高評価である沢村賞を2度も受賞した実力者でありながら35歳という年齢でメジャー移籍をしています。

35歳という年齢でメジャー移籍できたのも、投手というポジションで日本での実績も申し分ないというところが大きなポイントだったとも言えます。

そんな菅野選手ですが、今回のメジャー挑戦が2度目の挑戦ということで並々ならぬ覚悟で臨んだ挑戦だったと思います。

ボルティモアも決して日本人が多い街ではないが「いや、全くそこ(の不安)はなくて。僕は本当に、野球で勝負していくんだという強い気持ちしかないので、そこは全然考えていないです」と強い気持ちを口にした。

メジャーで大きく環境が変わることについても「僕は何も不安、心配ごとはなくて、こっち(巨人)でやってきた12年間の経験は確実に生きると思うので、どんな環境でも適応する覚悟で今回、アメリカに来ているので、その場になってみないと分からないですけど、いろんな部分で順応していけばなと思っています」と自信をのぞかせた。

引用元:スポーツ報知

今回のメジャー移籍が決まった後に語った内容からも日本での実績が自信になって言葉に表れていると感じます。

しかし、私が注目したいのは前回のメジャー挑戦時の心境です。

メジャーへの夢はある。ただ、行くことがゴールじゃない。中途半端な契約だとしたら今年は行かないことは、渡米前からはっきり決めていた。NPBで数々の記録をつくった日本のトップ選手が、足元を見られるような中途半端な契約で行けば、今後メジャーを目指す選手の“評価基準”にも影響するだろう。

メジャーはコロナ禍で財政面で苦しく、今オフは例年以上にフリーエージェント(FA)移籍市場の動きが遅い。現在、最も高いFA契約はホワイトソックスからメッツ入りしたジェームズ・マキャン捕手の4060万ドル(約42億円)。田中将大投手やトレバー・バウアー投手ら大物選手に動きがない段階で、交渉期限のある菅野に、本来の評価を反映した条件を準備できる球団は少なかった。

引用元:スポーツ報知

当時はコロナという世界中を襲ったパンデミックの中でのメジャー移籍交渉ということで、菅野選手にとっても不運だったと思います。

しかしながらメジャーに行きたいという夢の実現だけではなく、日本のトッププレイヤーとしてのプライドと責任も背負ったメジャー移籍契約交渉で下した当時の決断は巨人残留でした。

そして前回のメジャー移籍交渉から4年後、35歳という年齢でむかえた今回は前回の思いも乗り越え自身の望む形である単年契約でオリオールズとのメジャー契約を結んでいます。

MLBの評価

出典:ヤフーニュース

オリオールズとメジャー契約を結んだ菅野選手は2025年2月からチームキャンプに参加し、練習・調整を重ねて開幕に向けてコンディションを整え無事にメジャー開幕をむかえました。

このころの日本でのメジャーの話題の多くは言うまでもなくドジャース所属の日本人3選手が中心となっています。

またメジャー開幕戦が日本で行われるということもあって、ドジャースの対戦相手カブスに所属している日本人2選手の話題も加わり、スポーツニュースやワイドショーは日本人5選手の話題でもちきりでした。

対照的にメジャー開幕までメディアにあまり取り上げられることがなかった菅野選手にとって、結果が求められる舞台に向けて自身の調整に集中できる環境だったのかもしれません。

キャンプ中の投球練習では日本で培ってきたボールコントロール・ストレートと変化球のコンビネーションを徐々に見せはじめ、先発ピッチングスタッフとしてチームからの信頼も勝ち取り2025年のメジャー開幕をむかえました。

パワーベースボールが主流のメジャーリーグでは、155キロ以上の球速でストレートを投げ込むピッチャーが多数います。

しかし菅野選手はそのようなスピードボールを投げるピッチャーではないため、開幕前の評価はそれほど高くない中でむかえたメジャー初先発戦はアクシデントで降板するまで4回2失点という内容で終えました。

そのピッチング内容について、捕手をつとめたアドリー・ラッチマン選手が語っています。

「彼はよくやっていたと思います。だんだん落ち着いてきて、スプリッターのキレも良かったし、球種をうまく織り交ぜながら、速球も内外に散らして、本当に試合に馴染んでいったと思います」

「最初のイニングを終えた後、リズムが出てきて、早いカウントでストライクを取れるようになった。すごくいい投球だったと思うし、これからもっとたくさんのイニングを一緒に戦えるのが楽しみです。試合が進むにつれて、彼の速球はどんどん良くなっていったと思います。内外角に散らして投げ分けるようになって、彼には本当に多彩な攻め方があるんですよね。なので、何かうまくいっていると感じたら、それを続けていくつもりです」

引用元:日テレニュース

日本で培ってきた投球術はメジャーのチームメイトにも十分伝わったと感じるコメントです。

160キロのストレートが投げれなくても十分勝負できるという自信に繋がるメジャー初先発を終え、メジャー開幕から約1ヶ月となる4月24日現在まで5試合に先発し2勝の勝ち星をあげる活躍をしています。

2025年シーズン、新天地で順調なスタートをきった菅野選手ですが、メジャーリーグにはチームや選手を評価する様々な指標があるなかで菅野選手にとってあまりいいとは言えない指標が示されはじめました。

その指標とは①三振を奪った割合②空振り率③ストレートの平均球速、主にこの点でメジャー全体の下位に位置するという数値が示されはじめました。

①の三振を奪った割合9.2%は大リーグ全体の下位1%、②空振り率17.1%は下位7%、③のストレート平均球速148.3キロは下位21%、またこれらの数値から予想防御率が6.40にも達しているというものです。

開幕してまだ1ヶ月ほどしかたっていないがチーム状況次第でシーズン中の選手トレードが激しく行われるのがメジャーリーグです。

このような数値が基準となって選手の取捨選択がなされているのも事実で、菅野選手にとってこのような数値はマイナス材料になる可能性もあります。

現在のオリオールズは借金5と負け越しており開幕投手は故障者リスト入り、期待されていた先発投手も0勝5敗、そんな投手陣の中で3勝目をかけて先発した23日のナショナルズ戦の投球に対して監督は称賛を送っています。

またオリオールズの番記者ジェイコブ・カルビン・マイヤー氏も菅野選手の投球に関して高く評価しています。

ブランドン・ハイド監督は菅野の投球に関して「すべての球種をうまくおりまぜて、緩急を自在に操っていた。初回の失点から立ち直って、7回まで投げたのはファンタスティックだった」と絶賛。

地元紙『ボルティモア・サン』の番記者、ジェイコブ・カルビン・メイヤー氏は自身のXで菅野の好投について「今夜もトモユキ・スガノが素晴らしいピッチングをしました」と伝えるとともに、現状ではほかの先発陣が苦しんでいることもあり「彼の投球効率の良さと冷静さは新鮮に映る」と高く評価した。

引用元:ヤフーニュース

菅野選手が日本で培ってきた投球術、コンビネーションはインパクトこそ感じられないもののメジャーリーグの舞台でも高い評価を受けはじめています。

まだ結論をだす段階ではないものの、菅野選手のメジャー契約はオリオールズにとっても現段階では成功と言えるのではないかと考えます。

まとめ

今シーズンからメジャーリーグのルーキーとしてプレーしている菅野選手ですが、メジャー移籍契約を結ぶ過程で他の選手のような過熱ぎみの報道はされていませんでした。

その理由として単年契約で日本円で約20億円という金額のインパクトが他の選手ほど大きくなかったことが考えられますが、開幕にむけてしっかりと準備を進めるという点ではこのような報道で良かったのではないかと考えます。

巨人のエースとして日本で培ってきた数々の実績がどこまで通用するかわからない世界に足を踏み入れた菅野選手ですが、渡米前のインタビューから感じた自信と強い気持ちでチームからの信頼を勝ち取りつつあります。

オールドルーキーと言われていますが制球力と多彩な変化球のコンビネーションでパワーベースボールの立ち向かっていく姿はまさにベテランの投球術です。

巨人時代と同様にベテラン投手としてメジャーリーグでもエース格のピッチングを披露し、ポストシーズン・リーグ優勝決定戦・ワールドシリーズまで菅野選手の投げる姿を見てみたいと願うばかりです。

ここまで読んでいただきありがとうございました。

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